英会話学習 2020/12/4

シャドーイングとは?英会話における効果や正しいやり方を紹介

シャドーイングとは?英会話における効果や正しいやり方を紹介
このエントリーをはてなブックマークに追加

英会話を効率よく上達させるための学習方法として、近年注目度が高まっているのがシャドーイングです。

シャドーイングとは、簡単に言うと英文音声を復唱したり、聞き取った英語をライティングしたりする勉強法ですが、やり方によって効果はまったく変わります。

やり方や注意点を正しく理解して実践することが効果を得るポイントになるので、記事を参考にしっかり体得して英会話上達に生かしましょう。

通訳訓練法の一つであるシャドーイングとは?

シャドーイングは、もともと同時通訳を目指す人の通訳訓練法として取り入れられているもので、第二言語習得研究でのその効果が認められています。

通訳訓練では、英文の音源を聞き取りながら、数語遅れて音源を追いかけて英語を発話する練習を行ないます。

英語学習におけるシャドーイングは、音声を聞きながら発話をし、音声の内容を理解できるようになる練習という位置づけです。

英単語を覚えたり参考書を読んだり問題を解いたりすれば英語の知識は得られますが、知識があっても英語を音声で聞いてすぐに理解できるようにはなりません。

言語学習の最終目的は、「聞く」「伝える」など言葉によるコミュニケーションが取れるようになることです。

シャドーイングは、英文を自動的に理解したり英語でレスポンスしたりする、つまり自然に英会話ができる英語脳を鍛えるためのトレーニングです。

シャドーイングには英会話でどんな効果がある?

シャドーイングは英会話の上達に優れた効果があることが知られていますが、英語の上達といっても、何がどうなるのかという具体的なことは分からない方も多いのではないでしょうか。

効果がよく分からないままでは、シャドーイングを行なっても思うような効果は得られません。

どんな効果があるのかを把握することで練習の質も高まるので、効果の詳しい内容をきちんと知っておくことが大切です。

ネイティブに通じる英語が身につく

英語の発音と日本語の発音はまったく違います。

たとえば、水はウォーターと読みますが、ネイティブの発音ではウォラーと言っているように聞こえます。

また、バナナは日本語でも英語でも同じ読み方ですが、バにアクセントをおく日本語と違い、英語ではヴァナナとなり、中央のナにアクセントを付けて発音します。

そもそも、子音が16しかない日本語と違って英語は24もの子音があるため、いくら英語を読めるとしても日本語の発音ではネイティブには通じないのです。

シャドーイングでは、ネイティブの発音を聞きながらテキストの英文を繰り返し発声します。

最初はうまく発声できなくても、ネイティブの発音に近づけようとすることで、口や舌の動かし方が変わっていくので、結果的にネイティブに通じる英語を身につけられるのです。

本場の英会話に必要な単語を習得できる

日本語の会話でも言えることですが、会話の中では学校で習う言葉以外の単語をたくさん使います。

英会話も同じで、授業や自主学習などで覚える単語だけでは会話が成り立たないことがあります。

たとえば、外人は会話の最後によく「You know」(※1)と言いますが、この意味を学校で習うことはないでしょう。

(※1・・・「You know」は直訳すると「知ってる?」という意味になりますが、ネイティブ言語では「~だよね」「~でしょ?」という確認の意味を含むスラングです)

会話の最後だけではなく冒頭や中間に使われることもあり、冒頭の場合は「あのさ」「そういえば」というような話の出だし言葉として、中間であれば「だから」「えーっと」などつなぎ言葉の意味合いを持ちます。

そしてシャドーイングの教材の中には、映画やドラマ、スピーチなど生きた英文を使うものもあり、こういった教材を使っていると英文をそのままなぞって発声したり意味を調べたりするので、外人が普段の会話の中で多用する単語を習得できます。

本場の英会話に必要な単語を習得できることは、シャドーイングの効果の中ではあまりフューチャーされませんが、英会話を話す時には大いに役立ちます。

リスニング力を高められる

シャドーイングは、さまざまな英文の音声を聞いて、同じように発音する練習です。

つまり、聞き取る英文量が普通よりも多くなるので、リスニング力がつきます。

洋画や英語のラジオを聞き流して耳を慣れさせるという学習法もありますが、残念ながら聞き流しは英語に集中するわけではなく、英文の内容も分からないままなのでリスニング力はつきません。

そのため、シャドーイングをするときは、英文に使われている文法や単語を聞き取って意味を理解できるように集中して聞きますが、これがこの学習のポイントにもなっています。

聞き取った英文を発声できるレベルまで持っていくためには、聞き取る力を鍛えることが必須になるので、続けることで自然とリスニング力を高められるのです。

英文法が自然に身につく

英文法は座学で覚えるという方が多いかもしれませんが、習得している方のほとんどは感覚でマスターしていると言われています。

そもそも、どの国の人でも文法を勉強して母国が話せるようになったわけではありません。

小さいころから大人の会話を聞いたり、絵本を読んでもらったり、テレビや映画を観たりする中で文法を自然と身につけ、成長とともにしゃべれるようになっています。

つまり、どんな人でも文法は頭ではなく耳から入ってくる会話などから覚えているので、シャドーイングで英文を聞き続けることで文法も身につける効果が期待できます。

もちろん、基礎的な知識は必要ですが、単語の聞き取りや内容を理解しようとすることで、文法の使い方も自然と分かってくるのです。

シャドーイングの効果が出ない原因

シャドーイングをしたけどまったく効果がなかった、という意見もあります。

確かにどんな学習方法でも効果には個人差があるので、効果がない人がいるのは当たり前のことかもしれません。

ただ効果がなかった人の多くに共通している原因があるので、同じ失敗をしないように何が原因だったのかチェックしておきましょう。

いきなりシャドーイングから始めてしまう

英会話ができるようになりたいと思ったら、とにかく効率が良い勉強法を実践したくなるのも当然です。

しかし、文法や英単語など基礎的な知識がないのに、いきなりシャドーイングから始めても効果は得られません。

シャドーイングから英会話を始めるのは、スキンケアで例えると、洗顔もせずローションも塗らず、いきなり美容液を塗ってしまうのと同じです。

シャドーイングは、集中して聞けばある程度理解できる英語力を持っている人や基礎的な発音ができる人の英会話トレーニングです。

とりあえず始めたとしても、聞き取れない発話できないというのでは英語を学ぶ面白みもないため、すぐに飽きてしまい、結果的に効果が得られないことになるのです。

とりあえず発声だけしている

聞き取った英文を声に出すのはシャドーイングのやり方の一つですが、ただ発声だけをしていても通じる英語を話せるようにはなりません。

外国人が話す日本語を正しく理解するためには、正確な発音やイントネーションが必要になります。

それと同じで、発音とイントネーションを正確に発話できていない英語は正しく伝わりません。

シャドーイングは、音声の発音を真似ることでネイティブの発音を身につける効果が得られます。

誰も聞いていないとしても、外国人になりきって発音しないのであれば、効果がないのは当然と言えるでしょう。

レベルに合っていない英文をシャドーイングしている

シャドーイングは、初心者向けのものもあればスピーチや海外のニュースなど上級者向けのものまで、教材によって英語のレベルが異なります。

そのため、レベルに合っていない英文を繰り返し聞いても、繰り返し発話しても効果はありません。

特に、英語学習を始めて間もない人の場合は、レベルの高い教材を使っても英語力はアップしないので、教材選びには気をつけましょう。

学習には段階があり、一つずつ確実にものにしていくことで、最終的に学力がアップします。

シャドーイングも同じで、自分のレベルに合った教材をやりこんで、マスターしてから次の段階に進むのが効果を得られる方法の一つになります。

レベルが高すぎると、意味が分からないまま聞き流す状態になってしまい、時間を無駄に浪費してしまうので注意してください。

シャドーイングを始める前の事前対策

シャドーイングの効果を得るためには、事前に対策をしておくことが肝心です。

とりあえず始めればどうにかなる、と思うかもしれませんが、前述したように準備不足のまま始めても思うような効果を得ることはできません。

一見遠回りに感じられますが、事前対策をしておくとトレーニングもスムーズに進められます。

リスニング練習をする

最初にしておきたいのが、リスニング練習をすることです。

英語のリズムは日本語のリズムとまったく違うため、いきなり英文の音声を聞いても話すスピードについていけません。

また、日本語は語尾がはっきりしていますが、英語は発音しない語尾の子音が次の言葉の母音とつながって発音されることがあります。

これはリエゾンという音のつながりのことで、分かりやすい例を挙げると「Thank you」(ありがとう)という言葉の場合、普通の発音ではサンクユーとなりますが、ネイティブの発音ではセンキューとなります。

英語のリズムやリエゾンの感覚をある程度分かっていないと、英単語や文法を聞き取ることができないので、基礎的な知識は付けておきましょう。

発音の練習をする

シャドーイングでは、聞き取った英文を復唱するので発音練習もしておくのがベストです。

中でも日本語には馴染みのない「th」「V」「R」「F」などは、聞き取るのも難しく、発音もうまくできないためつまずいてしまう方は少なくありません。

一部の発音のせいで進めなくなると時間ももったいないので、苦手な発音がある場合は、口や舌の動かし方などを動画で確認しながら、発音できるようにしましょう。

一つでも多くの単語を覚える

英単語を覚えることは必須ではないものの、覚えておくとシャドーイングもぐっと進めやすくなります。

極端に言えば、文章は単語のかたまりのようなものですから、英単語をたくさん知っていればその分英文の内容を把握できます。

そもそも、英単語の暗記は語学学習の基本です。文法を理解していても、単語が分からなければ伝えたいことも伝えられませんし、相手が言っていることも理解できません。

英単語の暗記はどんな学習方法を選んでも続けなくてはいけないことなので、1つでも多く覚えることを心がけましょう。

シャドーイングの効果が得られる正しいやり方とは

どんなトレーニングでも、正しいやり方をしないと効果が半減してしまうのと同じで、シャドーイングにも正しいやり方というものがあります。

自己流で頑張っても、それが間違ったやり方であれば思うような効果は得られません。

せっかくトレーニングをするのですから、少し面倒でも着実にステップを踏んで、正しいやり方を身につけて英語力をアップさせましょう。

テキストの英文を理解する

通訳を目指すのであれば、英文を聞きながら内容を訳していくトレーニングが必要ですが、英語学習としては最初に英文を理解しておかないと学習につながりません。

テキストの英文を読み込んで、単語や熟語の意味を理解し、発音の仕方やアクセントまで確認をしておくことで、英文の音声がスムーズに耳に入ってくるようになります。

テキストを音読する

英文の内容を理解したら、次は音読をしましょう。

シャドーイングでは、音声を聞き取ると同時に自分でも発話をしていきますが、発話につっかえてしまうとそこで中断してしまいます。

音読をしておけば、多少聞き取れない部分があったとしても単語や熟語のつながりでイメージできるので、最後まで続けられます。

「もう一度最初から」を繰り返していてはトレーニングにならないので、正しい発音で音読ができるようにしておきましょう。

音声を複数回聞く

音読が終わったら、次は音声を複数回聞いてみてください。

この段階では、発音や読み方が合っているかを確認し、音声を聞きながら発話できるようにトレーニング環境を整えます。

少しでも、自分が思っていた発音と違う部分があったら修正し、スムーズにシャドーイングを始められるようにしましょう。

英文を見ながらシャドーイングをする

ここまでのステップが終わったら、いよいよシャドーイングです。

この段階では、まだ英文を見ながら行なってください。すでに意味も理解して発音なども分かっているので、比較的簡単に感じるかもしれません。

そして簡単だとトレーニングにならないのでは、と心配になりますが、まずは聞き取って発話できる達成感を覚えることが重要です。

最初からつまずいてしまうと学習意欲が薄れてしまうので、「できる」という感覚をつかんでください。

音声のみでシャドーイングをする

最後は音声のみのシャドーイングにチャレンジしましょう。

すでに発話しているから簡単だろう、というイメージがあるかもしれませんが、何も見ずに英語を聞き取るのは意外に難しいです。

しかし、これが本来のシャドーイングなので、意識を集中して聞き取り発話するというトレーニングをしっかり実践してください。

最初は苦戦するかもしれませんが、正しいやり方でアプローチしていけば英語に慣れていきます。このステップが英会話力のアップにつながるので頑張りましょう。

英会話のシャドーイングの効果を高める3つのコツ・ポイント

正しいやり方を実践すれば、シャドーイングの効果は必ず英語力に反映されます。

しかし、人によって効果の出方が違うのも事実です。すぐに効果を実感する人もいれば、きちんと続けているのになかなか効果が感じられない人もいるのは、もともとの英語力の違いだけではありません。

効果が出るのが早い人は、トレーニングのコツを掴んでいます。

ここでは、効果を高める3つのコツ・ポイントをご紹介するので、実践するときに意識してみてください。

発音することに集中する

シャドーイングは、聞き取りに意識を向けてしまいがちですが、できるだけ発音することに集中しましょう。

というのも、発音に集中すると無意識レベルでしっかり聞き取ろうという意識が働きます。

2つのことを同時に行なうのは難しいため、どうしても意識はどちらかに偏ってしまいます。

聞き取ることに集中すると、耳だけに神経が向けられてしまい発音がおろそかになりますが、発音をするにはしっかり聞き取る必要があるので、リスニングとスピーキングを同時に効率よく鍛えられるのです。

シャドーイングを録音する

シャドーイングを行なう際には、自分の音声を録音しましょう。

録音をしてテキストの音声を聞き比べてみれば、発音やイントネーションがおかしいところやスムーズに発話できていない部分を把握できます。

苦手な部分が分かれば復習もしやすいですし、改善ポイントも分かるので上達も早くなります。

また、実践に英会話をする機会がないと成長は分かりづらく、途中で心が折れてしまいそうになることもあるでしょう。

そんな時に、録音した音声を聞き返すと自分の英語力の成長を実感できるので、新たな気持ちでトレーニングを続けられます。

短時間で良いので毎日続けること

シャドーイングは少しハイレベルな学習方法ですが、その分勉強したという満足感が得られます。

そのため、週に3日や週末にまとめてやれば良い、と思ってしまう方も多いようです。

しかし、英語に慣れるには毎日聞くことが重要です。

毎日やるとなると気が重くなるかもしれませんが、長時間やる必要はありませんし、今までトレーニングしたフレーズの復習でも構いません。

大切なのは英文の音声に慣れて自然と発音ができたり、意味を瞬時に理解したりする脳を育てることですから、短時間で良いので毎日続ける習慣をつけてください。

正しいやり方を実践すればシャドーイングは効果絶大!

シャドーイングをしても効果がない、英会話スキルが上がらないという声もありますが、失敗する原因の多くは自己流のやり方をしているからです。

英語の学習法方はどんなものでもステップがあり、一段階ずつきちんと進めていくことが効果を得られるコツになります。

シャドーイングでも正しいステップとやり方があるので、焦らずに基礎を固めながら進めていきましょう。

もし、自分で進める自信がない場合は、始める前に英会話スクールを利用するのもおすすめです。

たとえば、ECC英語学院なら会話表現のリピートやドリル学習、ペアワークなど「英語を話して使う」発話にフォーカスしたレッスンが受けられるので、シャドーイングの土台をしっかりと固められます。

英会話スクールは英会話をスムーズに上達させるツールの一つなので、上手に活用しながら正しいシャドーイングを実践し、理想の英会話レベルを効率よく身につけていきましょう。

留学先を国から探す